
お子さんを持つご家庭なら、一度は耳にしたことがあると思います。
今、その「ゲーム」がADHDの新しい治療法として注目を集めていることをご存知でしょうか。
「遊びが治療になるなんて信じられない」と感じる方も多いと思います。
でも、これは根拠のない話ではなく、科学的な研究と臨床試験に基づいた最先端の医療です。
この記事では、日本でも導入が近づいている「デジタル療法」という新しい選択肢について、できるだけ分かりやすく解説します。
ゲームが「薬」になる?ADHD治療に使われる「デジタル療法」とは
まず、「ADHD治療にゲームを使う」とはどういうことなのか、その仕組みからご説明します。
これまでADHDの治療といえば、以下が中心でした。
- 医師から処方される薬物療法
- 環境調整や療育、心理的支援
そこに新しく加わろうとしているのが、デジタル療法(DTx:Digital Therapeutics)です。
デジタル療法(DTx)の特徴
デジタル療法とは、医学的エビデンスに基づいて開発されたプログラム(アプリやゲーム)を使って行う治療のことです。
単なる娯楽用ゲームではなく、以下のような特徴があります。
- 医療機器として承認
- 医師の管理下で使用
- 臨床試験で効果が検証済み
アメリカでは、8〜17歳の子ども向けに、EndeavorRxというゲーム型治療アプリが、世界初の「処方箋が必要なデジタル治療」として承認されています。
日本では現在、塩野義製薬が、この日本版となる「SDT-001」というアプリの承認申請を進めており、導入に向けた準備が進行中です。
なぜゲームでADHDの症状が改善するの?

そんな疑問が浮かびますよね。たとえるなら、以下のような違いがあります。
- 普通のゲーム:お菓子
- 治療用ゲーム:栄養バランスを考えたサプリメント
前頭前野を鍛える設計
この治療用ゲームは、脳の中でも特に注意力・計画性・衝動のコントロールを司る前頭前野を刺激するように設計されています。
実際のプレイ内容の例
-
障害物を避けながら、同時にターゲットを回収する
-
状況が次々と変化する中で、素早く判断を下す
このような課題を、1日約25分・週5日程度続けて行います。
これにより、脳の「集中する力」を少しずつ鍛え、「マルチタスクへの対応力」「気を散らさずに取り組む力」といった能力の向上が期待されています。
日本での臨床試験結果|効果は?副作用は?
「本当に効果があるのか?」「子どもに使っても大丈夫なのか?」
ここは多くの方が一番気になるポイントでしょう。
日本での研究結果
日本で行われた164名の子どもを対象とした第Ⅲ相臨床試験では、次のような結果が報告されています。
- 6週間アプリを使用したグループは使用しなかったグループと比べて、不注意・多動性・衝動性のスコアが有意に改善する
- 継続使用によって、効果も持続する
すごいですよね。
副作用について
薬物療法で心配されがちな重い副作用は報告されていません。
一部の方(5%未満)にイライラや軽い頭痛が見られましたが、これは脳を使ったトレーニング後に感じる「脳の筋肉痛」のようなものと考えられています。
子どもだけじゃない|大人向けADHD治療ゲームも登場
ADHDの困りごとは、子ども時代だけに限りません。



と悩む大人の方も多くいます。
そういった悩みを持つ大人向けのゲーム療法も存在します。
大人向け「市販ゲーム療法」
2024年6月、アメリカFDA(食品医薬品局)は、EndeavorOTCを処方箋なしで購入できる大人向けADHD治療用ゲームとして承認しました。
221名の大人を対象とした調査では、
- 83%が「集中力が向上した」と実感
- 約72%が「生活の質(QOL)が改善した」と回答
という結果が報告されています。
日本での販売時期は未定ですが、ADHDを持つすべての人にとって、選択肢が広がる大きな一歩と言えるでしょう。
【まとめ】「新しい選択肢」を知ることが心を軽くする
- ADHD治療用ゲームは、脳の「集中する力」を鍛える新しい治療法
- 日本でも「SDT-001」として承認申請が進行中
- 副作用が少なく、楽しみながら続けやすい
- 大人向けアプリも登場し、生涯にわたる支援が期待されている
「ゲームで治療」という考え方は、これまでの常識を大きく変えるものです。もちろん、薬物療法や療育を否定するものではありません。
大切なのは、「自分や家族に合った方法を、より広い視野で選べるようになること」です。
「集中しなさい」「じっとしていなさい」と言い続ける毎日は、本人だけでなく、支える家族も疲れてしまいます。
もし「遊ぶこと」が治療の一部になるのなら、家庭の雰囲気が少し変わるかもしれません。
新しい医療の形は、もうすぐそこまで来ています。
気になる方は、主治医の先生に「ゲームを使った新しい治療法があると聞いたのですが…」と相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は以下の参考情報をもとに構成しています。最新の承認状況や治療内容については、必ず医療機関や公的機関の公式情報をご確認ください。
【参考情報】
FDA Clears Over-the-Counter Video Game-Based ADHD Therapy for Adults
Akili prepares for Japan launch of ADHD gaming therapy
Pediatric Applications of Digital Therapeutics: Clinical Evidence and Implementation Landscape
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